◆10月19日:マンションを販売した「三井不動産レジデンシャル」は、他のマンション販売への影響を最小限に抑えるため傾いていないマンションも含む4棟の建て替えを基本方針として住民側と協議する方針を表明しました。建て替えには4棟すべての住民のうち4/5以上の同意が必要で住民側が納得できる補償内容を提案できるかが課題となります。
「三井不動産レジデンシャル」の4棟建て替えの方針に対して「旭化成建材」は、「現時点での責任は問題になった西棟の補修費用と他の棟における(杭の状況の)調査費用」の範囲と主張しており、4棟建て替えの費用負担については「三井住友建設や三井不動産レジデンシャルと協議していく」と責任範囲外の負担について警戒しており住民側への補償内容の調整が難航しています。
◆10月19日から杭の状況を確認するため掘削調査を開始したが10月21日の掘削作業中に水道管を破損。水道管部分の調査を中断し水の使用量が少ない時間帯に断水させて水道管の破損部分を補修する方針。
◆10月22日:旭化成は、施工不良となった8本の杭打ち作業は「工期終了直前の2週間」に行なわれていたことから現場代理人には「工期を延長させられない」とのプレッシャーがかかっていた可能性を示唆しました。
また、旭化成側の聞き取り調査に対して「旭化成建材」の現場代理人は、「杭打ちの作業をしていた当時は、次から次に仕事の発注があった。残業の量は相当多かった」と述べていることを明らかにしました。
◆10月24日:施工主の「三井住友建設」が、杭の未到達が判明した場所で、深さ16メートル付近に強固な地盤「支持層」があるのに対して設計の段階で2メートル短い約14メートルと見込み、約14メートルの杭を発注していたことがわかり杭の長さ不足について「三井住友建設」の設計ミスと認めました。
◆10月25日:杭打ち工事のデータ改ざんについて「旭化成建材」が現場管理者に聞き取りをおこなったところ男性は「杭が強固な地盤に届いてないと思った工事はない」と説明しているという。「旭化成建材」の堺正光取締役常務執行役員は会見で、男性の印象について「物言いや振る舞いからルーズな人だと感じた」と述べました。
石井啓一国土交通大臣は、「建設を行った元請け、下請けについてはしっかりとした建築物を造るという責任があるわけですから、それぞれの役割に応じた責任があるというふうに思います」と見解を示し、横浜市のマンションに関わったすべての会社に責任があるとして、住民への補償などに連携して取り組むことを求めました。
10月16日に開かれた住民説明会で「三井不動産レジデンシャル」は、「一番いいと思われるタイミングでの評価額で買い取ることが最大限の補償」と説明し、最も評価が高かった時期の金額で買い取る方針を住民に示していたことが明らかになりました。風評被害や精神的苦痛も補償の対象に含める方針で、27日に住民に正式に提示するとみられています。
マンション販売会社である「三井不動産レジデンシャル」が、10月16日の時点で「最も評価が高かった時期の金額で買い取る」方針を住民へ示していたことが明らかとなりましたが、その後に今回の責任の所在について同マンションの施工者の「三井住友建設」、工程の進捗確認や現場の安全管理などを行う一次下請の「日立ハイテクノロジーズ」、二次下請けの施工会社である「旭化成グループ」の「旭化成建材」それぞれに問題が発覚し泥仕合となっています。
補償範囲も「三井不動産レジデンシャル」は4棟全部と主張しており10月中に住民側が納得できる補償内容を提案できるかが注目されています。
破格の補償内容が提示されない限り住民の大多数が納得することは考えにくく、住民の退去が完了しないかぎり解体及び建て替えの着手も出来ないため短期間で決着させることは難しそうです。
同規模のマンションの建て替えには最低工期3~4年かかりますが、今回の住民補償の補填も考え、今より大型か高級マンションに建て替えるとしたら工期がさらに伸びてマンション完成時には、マンションの需要が縮小していることも想定されています。
早期に問題を解決し他のマンション販売への影響も最小限に抑えたい思惑もありますが現時点で解決の見通しが立っていないと思われます。
〆 ぐだぐだぶろぐ by タリム