10月14日横浜市都筑区の大型マンション「パークシティLaLa横浜」4棟のうち1棟でマンションが傾いていることが明らかになりました。
マンションの傾きは建物全長56メートルに対して両端で最大2.4センチの差が生じているという。
マンションの傾きは2014年11月に住民が廊下の手すり部分に差があることに気が付き住民からの指摘を受けて販売会社の「三井不動産レジデンシャル」と施工者の「三井住友建設」が調査を開始した。
傾いたマンションの杭(52本)のうち28本調査した時点で、杭が強固な地盤である「支持層」まで6本が到達していない、2本が「支持層」へ打ち込む長さが足りていないことが判明しました。
「支持層」の深さは施工時にドリルで掘削し抵抗値で判断するが、「三井不動産レジデンシャル」と「三井住友建設」の施工記録を点検したところ、問題が確認できた8本の杭はすべて「支持層」の深さが未調査で施工記録には虚偽のデータが記入されていたことが判明しました。
施工記録では4棟のマンションの杭473本のうち傾いたマンションで10本、他の3棟のマンションで28本が未調査で虚偽のデータとなっていた。
10月6日国土交通省は、「三井不動産レジデンシャル」と「三井住友建設」にマンションの傾きについて原因究明を指示しました。今回の件について「建築基準法違反」の疑いがあることから横浜市とともに調査を始める方針。
「三井不動産レジデンシャル」と「三井住友建設」は4棟すべての杭について地盤調査を実施し第三者機関をいれて構造の安全性を検証する方針を打ち出しています。
◆「「パークシティLaLa横浜」」(販売価格:3000万円~4000万円)
2006年に「三井不動産グループ」が販売を始め2007年12月に完成した。最寄り駅のJR埼京線鴨居駅から徒歩10分で世帯数は4棟で700を超える。マンションには幼児サロンやゴルフ同好会があり、夏祭りを開催したりと住民同士の交流が盛ん。
マンションの隣接地には神奈川県最大級(約275ショップ)の大型商業施設「ららぽーと横浜」がある。
住民からは「リビングや廊下の天井に亀裂が入っている」「ルーフバルコニーの二重サッシにひびが入った」「鍵がかかっていないと強風時にドアが開く」など被害報告が上がっています。
◆2015年10月15日続報追記
10月15日大手化学メーカーの「旭化成(株)」は、子会社の「旭化成建材」が問題となったマンションの杭打ち工事を請け負っており施工データを転用していたことを発表しました。「旭化成(株)」は、建物の補強や改修などの費用を子会社の「旭化成建材」が全額負担する。
・杭打ち工事のデータ転用について杭打ち調査でデータを印字する際にプリンターの電池切れやインク切れなどで記録に失敗し、別の杭の調査データをコピーした可能性が高いと明かした。
※杭打ち調査は杭が強固な地盤に届いたかどうかをドリルの電流値を記録して判断する形式を採用。
また、「旭化成建材」が請け負った過去10年分の杭打ち工事について施工報告書が残っている物件を調査し、施工報告書に記載されている数値がコピーされている又は不自然に似通っていてデータの転用の疑いが確認できた場合は地盤調査を実施し杭の状態を確認する。全国で約3000棟の物件が対象となります。
・「日立ハイテクノロジーズ」は、マンション建設時に工程の進捗確認や現場の安全管理などを行う一次下請けとして関与していたことを明らかにした。「日立ハイテクノロジーズ」は問題について「所有者や居住者、関係者に多大なご心配をかけたことをおわびする」とコメントを出しました。現在は施工者の「三井住友建設」と二次下請けの施工会社である「旭化成グループ」の「旭化成建材」と原因究明を行っており、「真摯に対応していく」としている。
◆2015年10月17日続報追記
・16日マンションの販売会社の「三井不動産レジデンシャル」と杭打ち工事を請け負った「旭化成建材」の担当者などが横浜市役所を訪れ、杭を打ち込む工事の際に、杭の先端のコンクリート量のデータも改ざんしていたことを報告し、16日の夜に開かれた住民説明会で杭打ち工事の際に杭の先端のコンクリートの量のデータが改ざんされてたことを報告しました。
・「旭化成建材」の親会社である「旭化成(株)」の広報担当者は、「工事の際に、くいを打ち込む穴に流し込むコンクリートの量を計る計器のデータをチェックしたところ、データの転用や改変があったことが確認された。そして今月7日に三井住友建設に報告した」と回答しています。
・16日住民説明会で「流量計データ」で改ざんされたデータが45本見つかったことが明らかになり、14日に報告されていた杭打ち工事の「電流計データ」の改ざん38本と重複している箇所もありデータが改ざんされた杭は合計70本となりました。「旭化成建材」の前田富弘社長は、「推測になる」と前置きし、データ改ざんの内容を見る限りでは数本は施工ミスを隠すために偽装している可能性が高いことを示唆しました。今回の報告で4棟のマンションで合計473本のうち70本でデータの改ざんが発見されています。
◆2015年10月19日続報追記
10月14日に報道される前の住民説明会で三井側は住民の質問に対し「検討する」と曖昧な説明が多く「杭の是正工事を行い第三者機関をいれて構造の安全性が確認されれば賠償の対象にはならない。」と説明していた。
10月14日に報道された後、三井側は4棟(影響のない棟も含む)の建て替え、工事や精神的負担への補償、建て替え(3年半ほどかかる見通し)までの仮住まいの費用負担を「基本方針」として打ち出してきたようで、住民側は「基本方針」を評価しつつも建て替えまで3年半掛かることや、賠償や補償については基準や目安が示されず個別で対応すると説明されていることから不安が拭えず困惑している。
2014年のマンション施工不良
◆販売会社:「三菱地所レジデンス」施工者:「鹿島建設」
東京都港区南青山に建設している高級マンション(平均販売価格:1億4000万円)「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」は、配管や配線で必要な貫通孔(全施工数:約6000箇所のうち761箇所)が設計図通り作られていなかったことが分譲前に発覚し販売中止となり施工者の「鹿島建設」が解体と建て替えの費用を全額負担した。
◆販売会社:「三井不動産レジデンシャル」施工者:「清水建設」
神奈川県川崎市に建築している高層マンション(販売価格:3300万円~8400万円)「パークタワー新川崎」は、建築中に一部のコンクリートの柱にひび割れが発生し、問題の部分は解体して再施工した。
問題のマンションが販売された2006年~2007年は失われた10年が終わり景気がよくなり始めた「いざなみ景気」の頃で翌年の2008年9月に世界的な金融危機の引き金となる「リーマン・ショック」が起こり景気が後退しています。
2006年~2008年の頃は実感できるレベルで景気が上向いており財布の紐がゆるくなっていたのを覚えています。
土地価格が底を打ちこれから上がると言われておりマンションなどを売りやすい市況だったため、マンションなどの建築業界全体が「工期短縮 / 工期厳守」や「工費節約 / 工費削減」が過剰になっていた可能性があります。
2014年は業界大手である販売会社「三菱地所レジデンス」施工者:「鹿島建設」のマンションや販売会社「三井不動産レジデンシャル」施工者:「清水建設」の億ションで建築中のマンションで施工不良が起き、今回の販売会社「三井不動産レジデンシャル」施工者:「三井住友建設」(「旭化成建材」が施工担当)のマンションで施工不良、偽装が起きており、2005年(「いざなみ景気」に該当する頃)以降に施工されたマンションで、今後も施工不良や施工偽装が続けて発覚するかもしれません。
〆 ぐだぐだぶろぐ by タリム