2015年9月24日安倍首相がアベノミクス第2ステージと題し放った「新三本の矢」ですが、その後どうなったのでしょうか。
「アベノミクス」と「三本の矢」自体が死語になってる感もありますが、東京都議会選挙での自民党大敗を期に経過を見てみたいと思います!
【一本目の矢】希望を生み出す強い経済「名目GDP600兆円」※経済最優先で「戦後最大の国民生活の豊かさ」に向け、GDP600兆円達成を目指す。
・2014年の名目GDPは「513兆6980億円」で、2015年に「530億4657億円」となり17億円弱増えていますが、2016年には減速して「537兆2894億円」2017年も例年並みか平均以下の増加に留まる見込みです。
2020年までに名目GDP600兆円は難しい状況ですね。
◆「希望を生み出す強い経済」についてはどうでしょうか。
・消費税10%に上げると言い続け消費を先食いし景気を上げて消費税増を上げる政策も不発に終わりましたね。
・2017年は企業業績は上がっていますが法人税が伸び悩み国の税収が8000億円減り7年ぶりに税収減と見込まれています。
これは輸出企業の製造を国内に呼び込むことに失敗し、国内製造業の空洞化が原因と言われています。そもそも、円高から円安に転換できましたが、国内では輸入する原材料が上がるため国内で製造するメリットが薄く、為替リスクも考えるとそう簡単に国内製造に切り替えるメリットがありません。
法人税を下げて国内に企業を呼び込む政策も検討していますが加えタックス・ヘイヴンを利用した租税回避が進んでおり、海外との法人税減税チキンレースに参加する意味合いしかありません。
また、日本国内で活動する海外企業に関しても十分な課税を得られていないことも大きな問題となっています。
・経済の指標として「株価」をとり上げることが多くありますが、日本の株価は年金資金で底上げしている上に、日銀が異次元緩和と称し「ETF」を買い入れることにより間接的に株価を押し上げています。経済が良くなれば株価があがりますが、株価が上がれば経済が良くなるわけではありません。株価は資金を投入したら上がるのは当たり前です。。。
問題は日銀の「異次元緩和」を辞める時に年金資金と共に海外などの投資家に食い物にされてしまう懸念があります。
その場合、資本が国外に流出することになり「円」の価値が下がります。
資源を輸入に頼る日本では「円安」と「物価高」が進み制御可能な範囲の「インフレーション」となれば問題ありませんが、現状としては好景気サイクルを伴っていないので、物価高→不況と連鎖して「スタグフレーション」に陥る可能性が高そうです。
産業革命のような大きな経済成長が日本で起きれば回避出来るかもしれませんが、、、現実的な手段としては短期間に移民を大量に受け入れて人口を倍増させるぐらいしか僕は思いつきません。
・2016年には自己破産件数が13年ぶりに増加となり前年比1.2%増となりました。日銀の異次元緩和により、行き場のない銀行資金が個人向けカードローンに流れていると見られています。
・2017年6月政府は景気判断を「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」から「緩やかな回復基調が続いている」と景気判断を引き上げました。
ただし、総務省は2017年5月の家計調査速報で、消費支出が15ヶ月連続で前年同月比マイナス(2016年2月が閏月だった影響を除くと実質1年9か月連続減)と発表しています。
【ニ本目の矢】夢を紡ぐ子育て支援「希望出生率1.8」
※待機児童ゼロの実現や幼児教育の無償化の拡大、多子世帯への重点的な支援などによる子育てにやさしい社会を創り上げる。
・2017年7月5日総務省は、住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の日本人の人口が前年より30万8084人(0.24%)減少し、1億2558万3658人と発表しました。
・2016年の出生者数は98万1202人と100万人を割り込み、死亡者数は130万9515人で人口の自然減が32万8313人と過去最大を記録。
・2017年6月2日菅義偉官房長官は、2016年の出生者数98万1202人の公表を受けて「極めて深刻な問題だ。結婚や子育てを阻害する非正規雇用労働者の経済的不安定、子育ての負担を取り除く」と述べました。
・65歳以上の人口は3411万6389人、15歳未満の人口は1594万547人で少子高齢化も拡大しています。
◆2020年代に「希望出生率1.8」は達成可能か?
・「希望出生率」ってなに?
計算式は・・・「(既婚者割合×夫婦の予定子ども数+未婚者割合×未婚結婚希望割合×理想子ども数)×離別等効果」で求めます。
「希望出生率1.8」は、上記計算式で求めるため出産及び子育ての環境が整うことで上昇します。
・東京都豊島区など一部で2017年4月待機児童数がゼロとなったことを発表していますが、独身者の増加、晩婚化、第1子出生時の母の平均年齢の上昇に伴う「合計特殊出生率(出生率)」の減少が進んでいると見らています。
・政府は「待機児童ゼロ」「経済的不安定の改善」「子育て世帯への支援」など目指していますが、同時に人口減少、少子高齢化も進んでいるため早期に環境を整える必要があります。
・2015年9月に安倍首相が「夢を紡ぐ子育て支援」を発表してから2017年6月2日菅義偉官房長官の「極めて深刻な問題だ。結婚や子育てを阻害する非正規雇用労働者の経済的不安定、子育ての負担を取り除く」と述べているので、2年弱で成果無しを裏付ける形になりましたね、、、
・「希望出生率」を目標にしていますが、「希望出生率」が上昇してもすぐに子供が増えるわけでもなく、実際の出生率である「合計特殊出生率(出生率)」を上げるには、産まれるまで10ヶ月、産婦人科の数や医師、小中学校舎の老朽化、小中学校の数や教師、夫婦の経済状況や高齢化による介護など多岐にわたる問題が山積している。
※日本人人口を約9500万人で安定させるためには2025年に「合計特殊出生率(出生率)1.8」を実現して2035年に「合計特殊出生率(出生率)2.1」まで増やす必要がある。
【三本目の矢】安心につながる社会保障「介護離職ゼロ」
※介護施設の整備や介護人材の育成、在宅介護の負担軽減など仕事と介護が両立できる社会づくりと、意欲ある高齢者が活躍できる「生涯現役社会」構築を目指す。
・「介護離職ゼロ」については、介護のために離職を余儀なくされるケースで問題視されていますが具体的な数値が無く制度として「育児・介護休業法」などありますが、有給休暇取得率でも取得率が50%(厚生労働省は2020年までに有給休暇取得率70%を目標にしています・・・)を切っている状況で有効な効果は望めないと思います。
・介護施設の整備や介護人材の育成については、介護資格の取得緩和と補助金の交付などありますが、介護職については「低賃金」「身体的、精神的に仕事がきつい」ことが要因としてあり改善されていません。
また、介護職に長期間務めても賃金の上昇率が低く気がついたときには介護職員自身が貧困に陥っているケースも問題となっています。
・「生涯現役社会」については、年金支給年齢の引き上げ、、、で強制的に・・・(泣)
結果的に生活保護受給者が増えるだけですね・・・。
◆「介護離職ゼロ」など実現可能性は?
・現在の状況としては年間10万人(女性が80%)以上が介護のため離職しているとされていますが、正確な状況の把握ができてない状況ではないでしょうか。
また、目標も時期も曖昧で「介護離職ゼロ」に対する政策は2年弱で全く見えてきません。
「新三本の矢」は「安保法案」から国民の関心を逸らすために放たれたと言われています。実際には具体的な政策が無く心地の良い言葉を並べただけで結果も伴わず2年弱経過しましたが目標達成が見えません。
で、安倍内閣の失言や不祥事が重なり東京都議会で自民党が敗北し安倍内閣の支持率低下が鮮明になりました。
2017年7月9日安倍首相は「一つ一つ結果を出すほかに信頼回復の未知はない。そのため結果を出せるしっかりした態勢を速やかに整える必要がある。来月早々に自民党役員人事と内閣改造を断行し、人心を一新する」と述べました。
デジャブでしょうか(笑)
ただ、「新三本の矢」「アベノミクス第2ステージ」は継続する様子で、引き続き「経済最優先」「1億総活躍社会の実現」に向けて「幅広い人材を積極的に登用し安定感と突破力を兼ね備えた態勢を整えたい。これまでの発想にとらわれない改革突破力のある人たちを登用する」と発言しています。
要約すると「新三本の矢」「アベノミクス第2ステージ」で人事失敗した。このまま続けても何も達成できない。今度は有能な人を登用する。と言うことですね(汗)
まさか、「アベノミクス第3ステージ」とか「新々三本の矢」とか勘弁して下さいね・・・。
〆 ぐだぐだぶろぐ by タリム